とりちらかったもろもろの言葉たち

ちょっと大きめのつぶやきにすぎない戯言をとりあえず書いてみました

月別アーカイブ: 1月 2013

タブレットとPC、iPadとAndroidとWindows

Acerのダンナが「Windows 8が売れてない」と、PCの売れ行きの悪さをWindows 8に押しつけているようだ。

http://www.bloomberg.com/news/2013-01-27/acer-sees-success-in-chrome-pcs-as-windows-fails-to-drive-sales.html

まあ、それはそうだよね。もっと市場の起爆剤になってほしい、とステークホルダーが思っていたのは当然。Microsoftは「Windows 8は好調。Windows 7と同程度の市場の立ち上がり」と言っているけど、おそらくは低価格で提供したアップグレードライセンスが数を引っ張っただけで、実体的には売れてないというのが現実なんじゃなかろうか。

一方でAppleの株価が急落した。こちらはAppleが最高益を続けているにもかかわらず、である。要するに市場の期待に比べ、そのパフォーマンスがイマイチだったと評価されたわけだ。大勝ちを続けた企業は大勝ちし続けることを要求される。実際にはそんな無茶なこと続くわけがない。というか、Appleのビジネスモデルは転換期に来ているので、そんな大勝ちは続けられっこない。日経が報じた6500万台という数字がデタラメだと批判されていたけれど、ベストケースとしてそれくらいの期待はあったんじゃないかな。

ただ、そのベストケースはあり得ない。既に、スマートフォン市場はコモディティとしての争いにシフトしている。これまでの高級感で売っていた市場ではない。利益率は下がる。タブレットですら、Nexus 7とiPad miniという図式を見れば、そうなりつつある。浸透度が高いスマートフォンならなおさらだろう。

PCとタブレットのユースケース

そのタブレットだが、マーケット的にはPCを食っているのは間違いない。Appleの中ですら、Macbookの一部がiPadに移っているように、PCとタブレットは競合する。ただその範囲が広いのか狭いのか。そこが問題だろう。より正確にいうなら、クラムシェルでキーボード+マウスで操作する利用形態と、一枚または2枚の画面をタッチ操作する形態の違いだ。文字入力の効率で考えると、物理キーボードのあり/なしは大きく影響する。逆に、例えば絵を描こうとしたら、マウスを使うよりタッチパネルで直接フィードバックがあった方がいい。単純に、「クリエーティブな作業に使えるのはPC」とくくるのは危険だ。複数のウインドウがあって、それを切り替えながら使うというなら、マウスもよいだろう。しかし、シングルウインドウで、細かい位置のポイントが不要なら、むしろマウスなど無くてタッチ操作の方が自然だ。そこにある画面要素をそのまま触るのは、3歳児でもできるくらいだ。基本、クラムシェル型よりタブレット型の方が、利用形態としては自然で使いやすいと思う。

ところがここで、もう一つの要素が絡まる。OSの違いだ。WindowsとiOS/Androidでできることが違う。複数のウインドウを表示し、別のウインドウの内容を参照しながら別のウインドウで何か作業をするようには、iOSやAndroidはできていない。これと利用形態とが密接に関わり合っているため、混同して語られがちで、よく誤りだといわれるのだが、冷静に考えてみると意外と間違ってないかもしれない。iOSもAndroidもタブレットやスマートフォンの形態に合わせてUIを構成しているわけだし、Windowsもこれまではマウス+キーボードを前提にUIを作ってきたからだ。

こういう違いがあるので、タブレットじゃ仕事ができない、という言説はまあわかるのだが、実際にはどうなんだろう。ちょっと原稿を書きたいとは思わないが、意外にそれだけでも過ごせるのではないかという気がする。理想的には、手書きで書いたメモがそのまま図形や文字が電子的な正しい文書になるソフトだが、これはWindowsのデスクトップでは出てこないだろう。

そこでWindows 8だ。だからこそWindows 8は、なんだかんだいってもMicrosoftの野心的な製品だと思う。タブレットパートとデスクトップパートのハイブリッドになっている。タブレットパートのアプリ開発を支援するのに、デスクトップアプリのシェアをてこにしようということだ。それが結果的にWindows Phone 8やWindows RTへのアプリ開発に支援するという狙いもある。しかし、だ。現実は甘くないだろう。結局はWindowsアプリの大半はデスクトップ向けで、Windowsストアアプリの方はあまり増えないのではないだろうか。結局、タブレット用OSとして、Windows 8が地位を確立するのは難しいと予想する。